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猿でも出来る低レベルの運用

世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の昨年10-12月期の運用成績は、世界的な株価の持ち直しや国内金利の低下を背景に、2四半期ぶりのプラスとなった。
収益率と収益額は4四半期ぶりの高水準だった。

GPIFが1日午後に公表した2015年度第3四半期の運用状況によると、収益率は3.56%、収益額は4兆7302億円。
同一基準でさかのぼれる08年度以降で最悪だった7-9月期(収益率マイナス5.59%、収益額マイナス7兆8899億円)から回復した。

昨年末の運用資産は139兆8249億円。半年前に記録した過去最高の141兆1209億円には届かなかった。
前身の年金資金運用基金として自主運用を始めた01年度からの累積収益額は50兆2229億円となった。
14年10月末の資産構成見直しでは、経済活性化による将来の金利上昇を視野に国内債の目標値を60%から35%に下げ、内外株式は12%から25%に、外債は11%から15%へ引き上げた。
5%だった短期資産は各資産に分散して管理。デフレに強い国内債への偏重から、株式と債券が半分ずつで国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型に変えた。

GPIFの三石博之審議役は記者会見で、「累積収益額は右肩上がりに伸びている。長期的に見れば安定して収益を確保している」と語った。
資産構成を見直した14年第3四半期から15年第3四半期までの収益額が約9兆円に上ると説明。ただ、運用成績は年初からマイナスに転じているとし、国内債価格は上昇しているものの、国内株は大幅下落し、外国資産も円高でマイナスになっていると述べた。

国内株式の収益率は9.92%で収益額は2兆9660億円、外国株式は5.28%で1兆5854億円。
いずれも前四半期の大幅減から持ち直した。外国債券はマイナス1.10%でマイナス2179億円。財投債を除く国内債は0.75%で3785億円と、日本銀行が12月に異次元緩和の補完措置を決定したことを受けた金利低下で2四半期連続のプラスとなった。

年金特別会計が管理する資金も含めた積立金全体に占める国内債の割合は、12月末で37.76%と2四半期ぶりに低下し。過去最低となった。
国内株は23.35%に上昇し、外株は22.82%と過去最高。外債は13.50%に下がった。短期資産は2.57%だった。全体の5%を上限とするインフラ投資やプライベートエクイティ(PE、未公開株)、不動産などオルタナティブ(代替)投資は0.04%だった。

TOPIXは10-12月期に9.65%上昇。MSCIコクサイ・インデックスは円換算ベースで5.19%上昇した。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは0.27%と8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。米国債の10年物利回りは2.27%と23bp上昇した。円相場は1ドル=120円22銭と0.28%下落した。

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、GPIFの収益率がプラスになった理由は「市場が回復したことに尽きる」と指摘。国内株の収益率が想定よりやや高いので「買い増したかもしれない」とみる。ただ、年初からの株安で「このまま3月まで行けば、かなり厳しいだろう」と述べた。

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