世界の投資関連ニュースを独自視点でお伝えしています。

快走「円資産」ファンド、“自作”も可能

快走「円資産」ファンド、“自作”も可能
2016-03-24

 複数資産に分散投資を行うバランス型の中でも、国内資産を中心に組み入れる「円資産」ファンドのパフォーマンスが好調だ。2016年2月末までの過去1年間のバランス型ファンドのトータルリターンをランキングしたところ、第3位の「しんきん 世界アロケーションファンド」を除くと、第4位に「東京海上・円資産バランスファンド(年1回)」、第7位に「日本債券・株式バランスF(資産配分調整型)」などが入り、第8位までを「円資産」ファンドが占めた(図表1)。第1位の「明治安田 J-REIT戦略ファンド(毎月分配型)」と第2位の「BNYメロン・日本株式F 市場リスク管理型」は、円資産であるJ-REIT、日本株式を主要投資対象とするが、相場環境に応じて債券や先物取引等を利用して、高リスク資産への実質的な投資比率を機動的に変更するタイプであり、現在はその比率が引き下げられていることから、バランス型に分類されている。なお、第3位の「しんきん 世界アロケーションファンド」は海外資産も投資対象とするが、2月末時点では相対的にリスクを抑えた運用が適切との判断から現金などを除き、全て国内債券に投資している。

図表1:バランス型ファンドの過去1年間トータルリターンランキング
順位 ファンド名 カテゴリー名 トータル
リターン(%)
1 明治安田 J-REIT戦略ファンド(毎月分配型) バランス 4.98
2 BNYメロン・日本株式F 市場リスク管理型 安定 4.60
3 しんきん 世界アロケーションファンド 安定成長 3.67
4 東京海上・円資産バランスファンド(年1回) 安定 2.76
5 東京海上・円資産バランスファンド(毎月) 安定 2.76
6 JPM 日本債券アルファ 安定 2.07
7 日本債券・株式バランスF(資産配分調整型) 安定 1.30
8 円Hソブリン/Jリートインカム(毎月) 安定成長 1.27
9 ハッピーエイジング60 安定 1.09
10 三菱UFJ バランス・イノベーション(債券) 安定 0.58
※ 国内公募追加型株式投信(ラップ口座専用、確定拠出年金専用、ETFなど除く)のうち、モーニングスターカテゴリー「安定」「安定成長」「バランス」「成長」のいずれかに属するファンドが対象
※ 2016年2月末時点
出所:モーニングスター作成

 「円資産」ファンドの優勢性が目立つ背景としては、まず、外国為替市場において一時1ドル=110円割れをうかがうなど、年初から円高傾向が続いていることが挙げられる。また、1月末の日銀によるマイナス金利導入決定が国内債券と国内REIT(J-REIT)の価格を下支えしていることも大きい。国内と海外の株式・債券・REITの6資産について、国内投信の過去1年間のリターン平均値を見ると、最も高かったのが国内債券の2.72%、次いで国内REITの▲0.14%となった(図表2)。国内債券は2015年8月の人民元切り下げ発表直後、国内外の株式やREITといったリスク資産が一斉に大幅下落する中でも安全資産として機能し、過去1年間では6資産の中で唯一のプラスリターンとなっている。なお、国内株式は年初からの株安が響き▲11.99%と国際債券や国際REITと同水準のリターンにとどまるが、それでも2015年前半に相対的に大きく上昇したという“貯金”が効き、過去1年間では国際株式のリターン▲20.76%の約半分に下落率を抑えた。

図表2:国内外6資産の累積リターン比較
図表2:国内外6資産の累積リターン比較
※ 6資産はモーニングスターの大分類に基づく、モーニングスターインデックス(単純)を使用。2015年2月末を10,000として指数化
※ 2015年2月末~2016年2月末
出所:モーニングスター作成

「国内資産」VS「海外資産」、リターンとリスク軍配は?
 過去1年間では、昨年8月の「チャイナ・ショック」を契機に投資家の姿勢がリスク選好からリスク回避に転換する中、円資産は比較的堅調なパフォーマンスとなったが、中長期ではどうだろうか。国内3資産(株式・債券・REIT)と海外3資産(同)にそれぞれ均等投資したパフォーマンスを算出したところ、過去1年間、3年間、5年間で国内3資産が大きく上回り、10年間でもわずかに上回った(図表3)。過去3年間と5年間の良好なパフォーマンスは国内株式と国内REITがけん引した“アベノミクス効果”だ。

図表3:国内3資産と海外3資産のトータルリターン比較
図表3:国内3資産と海外3資産のトータルリターン比較
※ 国内3資産(株式・債券・REIT)、海外3資産(同)はいずれもモーニングスターの大分類に基づく、モーニングスターインデックス(単純)を使用
※ 2016年2月末時点
出所:モーニングスター作成

 また、今回の算出結果では、国内3資産はリターンが良いだけではなく、当然ながら為替変動の影響を受けにくい分リスク(標準偏差)も低くなっている。リスクは過去1年間が8.60%、3年間(年率)が11.24%、5年間(同)が11.38%、10年間(同)が12.31%と、海外3資産をそれぞれ4.35%、0.69%、2.67%、4.87%下回った。過去10年を振り返ると2008年のリーマン・ショックや2011年の欧州危機などマーケットの大きな変動が数多くあったが、そうした中で国内3資産はリスク回避時に買われやすいという国内債券の分散効果が特に寄与し、リスクを抑える結果となっている。

円資産ポートフォリオ自分で作るなら?トップクラスの低コストも可能
 今後、新たに投資をはじめる投資家や、大きな価格変動リスクを取りたくない投資家であれば、このような「円資産」ファンドを最優先に検討したい。その際には、既存のバランス型ファンドの中から選択するだけでなく、インデックスファンドを活用した、コストを抑えたポートフォリオを自分で構築することもできる。例えば、国内株式、国内債券、国内REITについて、運用年数3年以上、純資産額100億円以上の2つの条件を満たし、さらに各資産内で最も低コストのファンドを選び、均等に投資する場合を想定してみた(図表4)。

図表4:国内3資産のポートフォリオ例
図表4:国内3資産のポートフォリオ例
※ 3ファンドのスクリーニング基準は以下の通り。国内公募追加型株式投信(ラップ口座専用、確定拠出年金専用、ETFなど除く)のうち、モーニングスターの類似ファンド分類「TOPIX連動型」「NOMURA-BPI(総合)連動型」「東証REIT指数連動型」にそれぞれ属するファンドが対象。各分類において、運用期間3年以上、純資産総額100億円以上のファンドの中から、信託報酬等(税込)が最も安いファンドを選定
※ 2016年2月末時点
出所:モーニングスター作成

 具体的には、国内株式は「eMAXIS TOPIXインデックス」(信託報酬等税込は0.43%)、国内債券は「三井住友・日本債券インデックス・ファンド」(同0.17%)、国内REITは「SMT J-REITインデックス・オープン」(同0.43%)となっており、ポートフォリオ全体のコストは0.35%と、既存の約620本のバランス型ファンドと比較しても、上位1%内に入る低コストでの投資が可能となった。自ら3本を選択して投資を行う場合、資産配分比率が当初から大きく崩れた場合には自分でリバランスを行わなければならないといったデメリットはあるものの、さらに低コストのファンドが出て来た場合、一部のファンドを入れ替えをすることで、全体のコストを一段と引き下げられる可能性があるだけでなく、将来的には新たな資産の追加、投資比率の変更など自分流に様々なアレンジが可能で、コスト面だけでないメリットも大きい。

関連記事

アーカイブ