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年金を預かるGPIFトップの書かれざる経歴

日本国民の年金資産約140兆円を運用する世界最大の“投資家”、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)。4月1日、新理事長に就任したのが農林中央金庫(農中)の元専務理事だった高橋則広氏(58)だ。

 GPIFの理事長は、06年の発足以来、日銀OBが務めてきた。前任の三谷隆博氏は、昨年3月の任期満了で退任予定だったが、後任が見つからず、留任していた。

「だが、ダボス会議に出張した際に現地で入院するなど、健康上の理由から辞意を示していた」(政府関係者)

 後継選びは迷走した。

「複数の日銀OBや大手証券幹部、資産運用会社トップなどに打診したが固辞された。運用原資が国民の年金である重圧に加え、政治的な圧力もかかる。億を超える高年俸が当たり前の金融界で、3000万円程度の報酬では割に合わない」(大手証券幹部)

 そこに手を差し伸べたのが「影の日銀」とも呼ばれる農中だった。

「GPIFを所管する塩崎恭久厚労相と農中の河野良雄理事長は同郷。河野氏は、愛媛県出身の経済人が作る塩崎氏を囲む“愛媛会”の主要メンバーの1人でもある。情に厚い河野氏が塩崎氏に高橋氏を推薦したのだろう」(農中OB)

 農中はGPIFの資産運用を一部受託しているが、

「GPIFの運用で農中のパフォーマンスが最も高いのも、高評価だった」(厚労省幹部)

 GPIFの運用責任者である水野弘道・最高投資責任者とは、犬猿の仲とされる塩崎氏だけに、高橋氏起用で一矢報いた形だ。

 高橋氏は、東大法学部を卒業して、農中に入った。

「以前、農中が証券関連商品を大量購入し、リーマン・ショックで兆円単位の含み損を抱え、経営危機に陥ったことがあった。その後の相場回復で何とか持ち直したが、その頃、債券投資部長や開発投資部長として運用に関わっていたのが高橋氏だった。彼を農中の理事長候補だったと書いているメディアもあったが、農中では危機を招いた当事者のひとりと冷ややかに見られている」(前出・農中OB)

 GPIFは安倍政権の意向を受けて、14年10月から、ハイリスク資産の運用を増やしている。高橋氏の手腕が問われている。

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