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ヘッジファンド業界人の没落、トップ1%ほぼ確実から失業予備軍に

ダグ・ディラード氏はトップ1%の金持ちになることがほぼ確実な道を歩んできた。

良い大学(ジョージタウン大学)、投資銀行(モルガン・スタンレー)、経営大学院(ハーバード)、ヘッジファンド。
大学院を出てから10年後、同氏は数十億ドル規模を世界の株式で運用するスタンダード・パシフィック・キャピタルを率いていた。
2008年には相場急落の中で利益を上げ顧客に恩恵をもたらした。

  しかし、リセッション(景気後退)後の上昇相場では他の大半のヘッジファンドと同様にリターンが低迷し、顧客資産は流出。
運用資産が5億ドル(約540億円)を割り込んだ今年2月、同氏はファンドの閉鎖を決めた。
「良いことにも終わりが来るということが、最近われわれにとって明白になった」と同氏とパートナーのラジ・バンカテサン氏は顧客宛ての書簡に記した。

  良いことが終わりになったと感じているのは彼らだけではない。
ヘッジファンド業界の大物の1人、サード・ポイントのダン・ローブ氏も4月26日に投資家への書簡で、業界は「崩壊の初期段階」にあるとコメントした。

  こうしたたそがれの兆しに業界人も危機感を抱いている。
ウィリアム・ピット・サザビーズでヘッジファンド運用者らに人気の高いコネティカット州サウスポートの不動産を扱うエドワード・マギ氏は、ヘッジファンドの「業界人たちは職を失うことを心配している」と話す。
買い手が失業したため数百万ドル規模の売買がキャンセルされたケースが今年に入って2件あったという。

  ヘッジファンドが苦戦したことは以前にもあったが、今回は全体的な投資環境は悪くないことが懸念を誘う。
S&P500種株価指数は1-3月(第1四半期)に約1.3%上昇、これに対しヘッジファンドの成績は平均でマイナス0.6%だった。

  業界人が不安に感じているのは、ヘッジファンドというビジネスモデルが機能しなくなったのではないかという点だ。
通常金持ちの投資先であるヘッジファンドは巨額の資金を数少ない投資アイデアに賭ける。08年の危機後、ジャンク債やその他の流動性の低い資産から手を引き株式を主な投資先とするファンドが増えた。
この結果、有望な投資アイデアに多くの運用者が集中するためリターンが縮小。

さらに、アブソルート・リターンが公表した調査結果によれば、10億ドル以上の資産を持つヘッジファンド会社が今では312社もある。利益の出そうな市場の隙間に入り込むには、この金額は大き過ぎる。
  そういうわけで、資金はヘッジファンドから流出しつつあり、業界は過密の様相を呈し始めている。

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