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中国企業に投資家いらだつ 「社印ない」社債デフォルトで言い訳

2016.05.25

「社印がない」「資産を移動した」「幹部と連絡が取れない」-。中国経済成長の鈍化を背景に、中国企業の社債の元利払いが滞ったり、デフォルト(債務不履行)に陥るケースが増加し、そのたびにこうした言い訳が行われ、投資家がいらだちを募らせている。

 中国山水水泥集団は今月、主要子会社の社印が手元にないため利払いができないと発表。同社社債の引き受け業者はその後、利払いがあったことを明らかにした上で、社印は不要だったと説明している。瀋陽城市公用集団は、社印の保有者が出張中だったため返済の発表ができなかったと釈明した。

 4月の時点で支配株主に変更があった中国城市建設控股集団の例では、届けが出された後の今月6日に同社社債は額面100元当たり79元に急落した。復星国際の場合、財新誌が昨年12月、郭広昌会長が行方不明と報じたのを受け、同社の2020年償還債が1営業日ベースでは過去最大の下げを記録している。復星国際以外にも、これまでに複数の発行体が幹部と連絡が取れなくなったと発表している。

中国では今年すでに、過去最多の10社が社債の元利払いに支障を来した。社債に関する保護や透明性の欠如に、投資家は一段と懸念を強めており、当局は規制強化や引き受け業者によるデューデリジェンス(企業の資産価値の適正評価)作業の妥当性に関する調査に乗り出した。

 格付け会社フィッチ・レーティングスの王穎シニアアナリスト(上海在勤)は「とっぴな理由で社債の元利払いが滞れば、海外勢による中国社債市場への投資意欲が損なわれる恐れがある」と指摘する。

 アバディーン・アセット・マネジメントの投資マネジャー、エドムンド・ゴー氏(クアラルンプール在勤)は「いつも考えているのは、中国国内の投資家に対する保護対策が国外の投資家に劣っているということだ」と話す。

 中国招商銀行のシニアアナリスト、劉棟●氏(深セン在勤)は「常軌を逸した形での社債のデフォルトに投資家はパニックに陥っている。彼らには次にどこでデフォルトが発生するか分からない。企業の財務諸表を見ても答えは見つからない。債務不履行に陥った企業の財務内容が必ずしも、最悪だったとはかぎらないからだ」と説明している

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