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ヘッジファンドの流血騒ぎ、起死回生の方法探る好機か

ヘッジファンドの7月の解約額が252億ドル(約2兆5300億円)に上った。
一部が閉鎖に追い込まれるような痛い話だが、業界全体の規模を考えれば、どうってことはない。

  悪いニュースとしては、流血騒ぎはこれで終わらないということだ。運用担当者はこの先をよく考えなければならない。
  米調査会社イーベストメントのリポートによると、7月のヘッジファンド解約額は月間ベースで2009年2月以来の大きさ。
6月は235億ドルの純減で、今年に入ってからの資金流出は計559億ドルに達した。
ものすごい金額だが、バークレイヘッジのデータによれば、業界全体の運用資産は2兆7000億ドルもある。

  09年以降の業界への力強い資金流入を考えれば、その反転が起きたのはごく自然だったかもしれない。
今年に入って商品ファンドがけん引し、過去1年2カ月の流入額は103億ドルに達した。また、マイケル・リーガン記者が先日指摘したように、業界全体というより、ロング・ショート戦略のファンドがひどくやられた。

  以上の2点からすると、ヘッジファンド業界は息絶える寸前というより、調整が起きたという見方が最新動向で裏付けられるようだ。
解約が起きたのは運用成績がマイナスのファンドが中心で、年初からの成績がプラス7%を超えるようなファンドには資金が流入している。

  ファンド側は移ろいやすい投資家に愚痴の1つも言いたいかもしれないが、それはだめだ。
運用資産の2%と利益の20%を手数料・運用報酬として徴収される投資家からすれば、より大きい利益を上げるファンドに乗り換えるのは当然。
こうした手数料慣行が変わらない限り、ヘッジファンド業界では今後も、勝者がより多くの資金を集める一方、敗者は復活のチャンスも与えられないことだろう。

  さらに、運用環境が恐ろく厳しい事実がある。
主要な中央銀行は低金利にすることで、不動産から未公開株(PE)投資まで長期資産を押し上げたが、ヘッジファンドなど短期ベースで運用する資産には逆に働く。
資産運用の最善策はこのところ、指数連動だ。だが、ヘッジファンドはそんな戦略はまず取らない。

  米金融当局も欧州中央銀行(ECB)も日本銀行も「通常」の金融政策に戻る日が近いとは言えないので、ヘッジファンドを取り巻く問題は残る。
つまり、業界全体でリターンは一段とさえなくなり、解約が増えるということだ。
  ヘッジファンドが存続の危機に見舞われるまでには、7月のような状況が数十カ月も続く必要があるだろうが、現在のような資産流出は止まらない公算が大きく、各社にとっては運用方法を再考するいい機会かもしれない。

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