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毎月分配型投信 元本取り崩し相次ぐ

専門家「投資家に説明を」
 国内の投資信託で主流となっている「毎月分配型投信」で、運用成績低迷による分配金の引き下げや、元本の取り崩しが相次いでいる。投資助言会社の三菱アセット・ブレインズによると、2016年に分配金を引き下げた投信は約3分の1の463本にのぼった。元本を取り崩して分配金の全額を賄った投信は5割以上に達するとの推計もあり、専門家からは「投資家への十分な説明が必要」との声も出ている。

 毎月分配型投信は、月々お金を受け取れることから年金を補う目的で購入する中高年が多く、QUICK資産運用研究所によると、昨年11月末時点の純資産総額は33.6兆円と全投信の55.8%を占めた(上場投資信託を除く国内公募追加型株式投信)。

 これらの投信は、国内の低金利と円安を背景に海外の高利回り債券に投資するなどして分配金を稼いできた。
16年は一段と金利が低下したうえに、円高の進展で運用成績が悪化。分配金の原資が不足し、分配金を引き下げたり、元本を取り崩したりした投信が大幅に増えた。

 同研究所が毎月分配型の投信1444本について、15年11月末に購入して1年間保有したと仮定して推計したところ、99%の投信が元本を取り崩して分配金に充て、うち53.7%で全額が元本からの支払いだったという。
米大統領選以後の円安などで運用成績は改善していると見られるが、三菱アセット・ブレインズの勝盛政治シニアコンサルタントは「金利はまだまだ低水準で、分配原資を強く稼げる状況ではない」と指摘している。

 元本を取り崩して分配金に充てた場合、投資家が「利益が出ている」と誤解して資産の目減りに気がつかない恐れもある。
投資信託協会が投資信託の保有経験のある個人投資家を対象に行ったアンケート調査では、元本を分配金に充てられることを知っている人は36.4%にとどまった。

 金融庁が、顧客の利益を最優先した金融商品の販売や情報開示を促す「受託者責任」を重視する中、専門家からは運用成績に応じた適切な分配や、元本からも分配金を支払える分配金制度自体の是正を求める声も上がる。

 早稲田大大学院の大村敬一教授(ファイナンス理論)は「投資家が利益を得たと錯覚するような商品を出すこと自体が問題だ。分配金の原資は実現益に限定すべきだ」と指摘している。



ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170119/k00/00m/020/063000c#csidxc96e327c3dd4291b20ee68a31c73bd2
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