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株取引に「人間の感情」は邪魔 100%AI任せのヘッジファンド誕生 (1/3ページ)

コンピューター科学者でアップルの音声アシスタント「Siri(シリ)」の基盤づくりにも寄与したババク・ホジャット氏は、株取引で人間は感情的であり過ぎると確信している。このため、100%人工知能(AI)に任せる新興ヘッジファンドを始めた。

 同氏は「人間には偏見や感受性、意識、無意識といったものがある。われわれ人間が間違いを犯すことは十分裏付けられている。私に言わせれば、データや統計が純粋に示すものに頼るよりも、人間の直感や説明に依存してしまうことの方が怖い」と述べた。

 金融のプロに勝る

 ホジャット氏が創業した新興ヘッジファンド、センティエント・テクノロジーズは過去10年近くを、AIシステムの秘密トレーニングに費やしてきた。膨大なデータを調査してトレンドを見つけ出し、株取引で学び適応しリターンを挙げられるAIを目指したものだ。テクノロジー業界のベテランで構成する同社のチームは、AI活用によってウォール街のプロに対して優位に立てると見込んでいる。

 センティエントのサンフランシスコにあるオフィスの壁には「ターミネーター」のようにAIが人間のように振る舞う世界を描く映画のポスターが貼られている。

窓のない小さなトレーディングルームの中で唯一光を放っているのはコンピュータースクリーン、そして大画面テレビに映るバーチャルな火だ。AIシステムをシャットダウンしなければならない万が一の場合に備え、男性2人が取引を静かに見守っている。

 「とんでもない事態が生じた場合、停止ボタンはある」とホジャット氏は語った。

 センティエントはパフォーマンスについても、技術の詳細の多くについても明らかにしていない。ブリッジウォーター・アソシエーツやポイント72、ルネッサンス・テクノロジーズなど伝統的なヘッジファンドも先端技術に資金を投じており、アイデアを生むのにAIを利用するところは多いが、トレーディング全体を任せるというのは異例だ。

 やり方押しつけず

 センティエントは今のところ、自己資金のみ取引しているが、その動向は金融界やAI業界が注視している。同社には香港の富豪、李嘉誠氏が所有するベンチャーキャピタルやインド最大の財閥、タタ・グループなどがこれまでに1億4300万ドル(約160億円)出資している。

 同社のチームはアマゾン・コムやアップル、グーグル、マイクロソフトなどテクノロジー企業のベテランで構成。コンピューターが自ら理解を深めていくマシンラーニング(機械学習)やデータサイエンスの金融市場への応用を目指す、シリコンバレーのグループの一角といえる。AIを活用するヘッジファンドとしては他に、ヌメライやエマなどが誕生している。

 センティエントは通常、米国株の銘柄を幅広く保有し、1日に何百回と取引をし、ポジションは数日ないし数週間単位で保有する。最高投資責任者(CIO)のジェフ・ホルマン氏は「やり方はわれわれがシステムに押しつけたわけではない。投資先の対象を広げ、より分散型のポートフォリオにした方が良いとの人間の考え方にAIは同意しているようだ」と説明する。

 同社は内部ベンチマークを上回る成績をAIシステムは挙げているとするが、ベンチマークの詳細は明らかにしない。年内に外部から投資資金を募る計画だという。

 ウォール街から昨年入社したホルマンCIOは、資金調達中のヘッジファンドによるマーケティングを制限する米証券取引委員会(SEC)の規則を理由に、語れる内容は限られるとした上で「プラットフォームはしっかりしている。これまで見たことのある他のどんな戦略とも違うようだ」と述べた。

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