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宇宙の姿が変わる!私たちはすごい時代を生きている 重力波にヒッグス粒子、少しずつ分かってきた宇宙の秘密

2017.03.27

筆者がJBpressを介して皆様にこうして記事をお届けするようになって1年経ちました。1年の間には、X線天文衛星「ひとみ」に悲劇的な事故が起きたり、113番元素がニホニウムと命名されたり、熱力学・統計力学の新たな法則が発見されるなどなど、驚きのニュースが相次ぎました。自分の記事の目次を見返して、いろいろあったなあと感慨にふけっております。

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 科学のニュースはいつでもどれでも驚きなのですが、実は私たちの宇宙観を変えるほど超重要な発見や衝撃的な報告が、この21世紀に入ってから相次いでいるのです。16%が経過した21世紀に、どんな事件があったか、宇宙の姿がどう変貌したか、最近の件からさかのぼって思い出してみましょう。

2015年、重力波発見

 アインシュタインの一般相対論が予言する、時空のさざ波「重力波」は、検出が極度に困難なため、100年の間、検出は不可能でした。

 しかし2015年9月14日9時50分45秒(世界標準時)、巨大で精密な重力波検出装置LIGO(ライゴ)が、人類史上初めて重力波を検出することに成功しました。太陽質量の36倍と29倍のブラックホールが13億年前に衝突・合体し、その際に放射された重力波が地球に到達し、LIGOをほんのわずかだけ振動させたのです。

 これにより、重力波とブラックホール両方の存在が疑問の余地なく証明され、同時に重力波天文学が創始されました。

 2017年現在、LIGOは2期目の観測を行なっています。今回は何が飛び出てくるのか、楽しみに待ちましょう。

太陽系には惑星が四捨五入して10個ほどありますが、よその恒星がはたして惑星を持つのかどうかは、数世紀にわたって知りようがありませんでした。なにしろ最も近い恒星でさえ、光の速さでも何年もかかる遠方にあります。そこのちっぽけな惑星を検出するには、すさまじく高度な望遠鏡技術が必要です。


 しかし約500年のたゆまぬ技術開発のおかげで、1995年には太陽系以外の恒星の惑星(系外惑星)が初めて検出されました。太陽系以外にも惑星が存在したのです。

 以来、系外惑星の数は年々増え、特に宇宙機「ケプラー」は、むちゃくちゃな勢いで新・系外惑星を検出していきました。2014年、人類の知る系外惑星の数は1000個を超えました。

 この宇宙は惑星に満ちているのです。中には生命を宿すものもあるかもしれません。夜空を見上げる時、そのことを意識せずにはいられません。星の王子様風に表現すれば、21世紀の星空が美しいのは、どこかに生命を隠しているからなのです。

2012年、ヒッグス粒子発見

 20世紀末から21世紀にかけて、素粒子物理学でも著しい発展がありました。

「トップクォーク」という重い素粒子が発見され、幽霊のような「ニュートリノ」が質量を持つことが確実になり、そして2012年には「ヒッグス粒子」がとうとう発見されました。

 ヒッグス粒子は、50年前に理論的に予言されて以来、検出が待ち望まれてきた素粒子です。そのあいだ、建造される粒子加速器はどんどん大規模になり、世界最大の粒子加速器LHCは全周27kmという途方もない大きさになりました。ヒッグス粒子を合成するのにはこの大きさが必要だったのです。

これで、存在すると予想された素粒子はあらかた出揃いました。これまでに発見された17種の素粒子は「標準模型」と呼ばれる素粒子理論で説明されます。ここのところ見つかる素粒子は標準模型の予想におおむね従っているし、人類は宇宙のミクロな部分をほぼ理解し尽くしたのでしょうか。


 けれども、宇宙を満たす「ダークマター」や、次に紹介する「ダークエネルギー」は、既知の理論と17種の素粒子では説明できません。標準模型は近いうちに拡張する必要があるようです。

2011年、宇宙の加速膨張の発見にノーベル賞

 20世紀末から、どうも宇宙は加速膨張しているらしいという証拠が出てきました。

 138億年前のビッグバン以来この宇宙は膨張し続けていて、そのため、遠方の銀河を観測すると私たちの天の川銀河から高速で遠ざかっているのが分かります。宇宙の膨張自体は90年ほど前に発見されていて、新発見ではありません。

 20世紀末に始まったプロジェクトは、50億光年以上という、訳が分からないほど遠くの銀河を観測して、距離と速度を精密に測定するものです。そういうことを調べると、宇宙論にインパクトのある結果が出せるんじゃないかと思ってやったら、本当にインパクトがありました。宇宙は加速しながら膨張していたのです。ほとんどの研究者はこんなこと予想しませんでした。ひっくり返るほどの驚きです。

 宇宙膨張は、一般相対性理論に従って起きます。一般相対論の方程式をあれこれいじくると、宇宙の膨張を表す解が得られるのです。そして加速膨張を表す解を得るためには、一般相対論の方程式中の「宇宙項」と呼ばれる定数項を0でない値に設定しないといけません。

 宇宙項は、宇宙空間を満たす「ダークエネルギー」を表すと解釈されています。空っぽで真空の宇宙空間には、実は目にも見えないエネルギーが詰まっていたのです。

一体このダークエネルギーとは何物でしょうか。量子力学において「零点エネルギー」だとか「スカラー場」と呼ばれる代物が実在したのでしょうか。どう扱えばいいのか、研究者も戸惑っている段階です。この解決は21世紀の課題です。


2001年、ヒトの全DNAが読み取られる

 21世紀の初頭、ヒトの全DNA配列が発表されました。ヒトの全DNAを読み取る「ヒトゲノム計画」は、当初は不可能ともいわれましたが、約10年かけて完了しました。

 ヒトのDNAは約32億塩基対、情報量にして1ギガバイト弱です。これは約2万~2万5000の遺伝子に相当すると思われますが、そのうち役割が判明し、きちんと解読されたといえるものはごくわずかです。ヒトゲノム計画のおかげで、どういうDNA配列が書いてあるかだけは分かったものの、ほとんどはいかなる機能を持ち何の役に立つのかは不明な状態です。

 この理解は21世紀のサイエンスの主要なテーマであり、生物学、医学、薬学、工業など広い分野に革新をもたらすことは間違いありません。

 ヒトゲノム計画の過程で開発された新技術は、その後ますます磨きがかかり、現在では、ゲノムDNAのサンプルを与えると、その全配列を最短で数時間で読み取るまでになっています。これは生物学の手法を変革しつつあります。生物界におけるヒトの位置付けもどんどん変わっています。

 このように21世紀は、宇宙がどうなっているのか、それはどういうミクロな存在から構成されているのか、私たちヒトはどのような存在なのかといった、この世界を捉える観点が大きく変化している時代です。

 地球創生以来46億年経ちますが、21世紀は地球史(宇宙史?)始まって以来の稀な瞬間です。そういう革命のさなかに居合わせ、その目撃者になれることは、46億分の100ほどの大変な幸運なのです。

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