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為替トレーダーはお見通し、米国境税プランが抱える致命的な欠陥

2017.04.20

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米国の首都ワシントンで、野心的な国境調整税の提案を売り込むポイントの一つは経済上の重要な前提にかかっている。

つまり、国境税導入でドルは十分値上がりするので、米国人の多くが依存する安い輸入品のコスト増加が打ち消されるという前提だ。
マクロ経済理論に裏打ちされた経済学入門といったところだ。

  しかし1日当たり5兆1000億ドル(約554兆円)相当の通貨が取引される為替市場で生計を立てるウォール街のトレーダーやストラテジストらによれば、このような考え方は不合理だ。
議会共和党が意見の相違を乗り越えて国境税の法案を通過させることができたとしても、構想が示唆するとおりにドルが25%上昇すると信じる人物を市場で見つけるのは困難だろう。

  その理由の一部は、構想の根底にある理論を現実世界に応用した場合の解釈にも関係するが、それと同じぐらい重要なのは、巨大な外国為替市場がいかに予想しづらいものであるのか、政治家らが根本的に理解できていない点がある。
何しろ、連日数兆ドルが取引され、世界のさまざまな経済要因がぶつかり合っているのだから。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の世界金利・為替調査責任者デービッド・ウー氏は「外為市場は最も予想しづらく、その為替市場がどうなるかを前提に税制を改革するとは笑える」とブルームバーグテレビジョンのインタビューで語った。

  ウー氏には、簡単な計算で済む話だ。米国のモノ・サービスの世界取引は1日当たり平均140億ドル前後。
これは世界の外為市場で1日に取引されるドルの規模4兆4000億ドルの0.3%、つまり誤差の範囲でしかない。
そして相場の流れは、金融政策や経済成長、政治リスクの変化に気まぐれなトレーダーらが反応することで左右される。
ドルが素直に貿易政策に反応するというのは考えが甘過ぎるというわけだ。

  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は実際、そうした懸念を口にした。議長は2月の議会証言で「一国の為替レートには貿易以外も影響を与える」とし、国境税が引き起こす「変化が完全に相殺されると市場が確信するには、一連の強い前提が必要だ」と述べた。

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