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人生で2番目に高い買い物 日本人が爆買いする「生命保険」の正体

2017.06.09

 みなさんは、生命保険に加入していますか?


 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年9月)によると、全世帯の約9割が保険に加入(個人年金保険含む)しているそうです。そして、世帯平均で年間38.5万円を支払っています。実はこれ、世界的に見て異常です。

生命保険の世帯加入率は約9割

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年9月)より
見えない商品「保険」に多額なお金を使う日本人

 世界の個人保険の世帯加入率は「欧米主要国の公的社会保障制度と私的保障制度の役割(2009年度)」(生命保険協会調査部)によると、アメリカが50%、イギリスが36%、ドイツが40%、フランスが59%です。日本の普及率がいかに高いかわかります。そして、支払い額も圧倒的に高いのです。

 仮に30歳で結婚を機に加入した場合、年間38.5万円の保険料を35年間支払い続けると、合計支払い金額は1347.5万円になります。これが、「人生で2番目に高い買い物」といわれるゆえんです。

 でも、ちょっと考えてみて下さい。

家や自動車など目に見える「高い買い物」と違って、生命保険は自分が家族を残して命を落とすかもしれないということを強くイメージしない限り、本来必要性を感じない商品です。しかも、予期せぬ死というめったに起こらない状況において支払われるもので、結果、その商品の恩恵を最後まで受けないことも多くあります。


 それなのに、なぜ日本人は、人生で2番目に高い買い物「生命保険」を爆買いしてしまうのでしょうか? これには大きく2つのトリックがあります。

日本人が爆買いする「生命保険」のトリック

 1つめは「価格のトリック」、生命保険の支払い方法にあります。生命保険は、毎月支払っている保険料が、知らず知らずのうちに積み上がって人生で2番目に大きい買い物になります。

 これがいきなり生命保険は一括で約1000万円かかります、と言われれば加入について悩みませんか? 毎月の支払い額が小さいので、多くの人が「高い買い物」と認識されないようにできているのです。

 2つめは「時間のトリック」です。生命保険加入時に「貯蓄や投資にもなります」という話を聞かされた人も多いのではないでしょうか? 例えば、「返戻率が120%ですよ」と言われたりしませんでしたか?

 返戻率は、受け取れるお金と払い込み保険料の総額が同じだった場合は100%。払い込み保険料よりも受け取れるお金が多い時は、この数字が上昇します。先ほどの返戻率120%なら100万円預けたら120万円になって戻ってくるということです。しかし、ここには「時間」という概念が巧妙に隠されています。

 私たち人間は平等に1日24時間という時間を与えられています。これは、赤ん坊でも、私たちでも、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットのような大金持ちでも同じです。これは世界がどんなに便利になっても変わらない事実です。裏を返せば、時間をどう使うかによって、赤ん坊と同じようになったり、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットになったりすることもできるということです。


 返戻率120%で100万円預けて120万円帰ってきても、そこまでにかかる時間が仮に「35年」ともなれば、利回りの平均は0.5%に過ぎません。これでは、株式投資における配当利回りの平均1.7%(日本取引所グループの統計資料より2016年10月~2017年4月の東証一部の単純平均利回りで算出)よりも下回ってしまいます。

 さらに、35年という期間を考えるとインフレの影響も懸念されます。35年後に返戻金120万円を受けとる場合、預けている期間の物価上昇率が約0.5%以下で推移しつづけないと、返戻金の実質的価値は、預けた100万円を下回る事になってしまいます。現在日銀が掲げている物価上昇率の目標が2%であることを考えると、この点も十分に考慮しなければなりません。

 生命保険はいざという時に家族のために・・・ということであれば、アパート経営などで団信(団体信用生命保険)を活用することで、生命保険代わりになりますし、利回りも事前に計算できます。また、戻ってくるお金はその時々に払われている家賃であるため、インフレによる大きな損失はありません。

 生命保険は生命保険、投資は投資などお金をジャンルで分けるのではなく、自分自身が何を得たいのかを考えて、得るための手段として何を選ぶのかという考え方を持つことこそが大切といえそうです。

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