世界の投資関連ニュースを独自視点でお伝えしています。

アメリカ株は天井か

2017.06.19

先週6月14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備理事会)は今年2回目の利上げを決定した。さらに年内1回、来年あと2-3回の利上げの可能性を示唆した。

米国株は天井に達したが、天井で止まる?

にもかかわらず、FRBは同時に資産縮小の具体案(国債・住宅ローン担保証券の再投資額を月あたり合計で上限100億ドル、1年後は月あたり最大合計500億ドル減らす)も提示したのである。

米国経済は、「利下げ」と3度の量的緩和(QE)によって立ち直った。通常、当局は正常な景気上昇への誘導は「利上げ」を使い、過熱して押さえられなくなった時に「伝家の宝刀」量的引き締め(QT)に踏み切る。

しかし今回、FRBはそのペースは緩やかとの評価はあるにせよ、まだ利上げ政策が「前半の段階」で、事実上の量的引き締めである資産縮小に踏み切った。このことからは、これからの景気上昇分を犠牲にしてでも、2008年のリーマンショック以降、ほぼ8年に及ぶ「上昇するアメリカ経済」を高原状態で維持しようという巧妙なFRBの意思が読み取れる。

これによって、筆者の信奉する相場循環図で言えば、米国株は天井に到達したと言える。つまり、株式相場は金融・流動性相場(今の日本株の位置)から景気回復・好業績相場に移り、それが過熱し利上げ・量的引き締めで天井を打つ。量的緩和のスタートが相場底入れのシグナルなら、量的引き締めの開始が相場天井のシグナルなのだ。

しかし今回のように、利上げ前段階の早いタイミングで、これだけ市場と対話(今後の引き締め数字を事前に公表)しながら行う、慎重なFRBの政策によって、株価はなかなか天井から降りてこないかも知れない。はっきり「天井圏」と断言したいところなのだが、しばらくはあまり使わない言葉だが「成熟圏」になるかも知れない。これこそがFRBの狙いなのだろう。

一方、米国と違い、日本はまだデフレ脱却に邁進している時で、場合によっては世界の資金が、「成熟圏」で伸びしろの少なくなった米国株から日本へ向かって来ることも考えられる。この理屈から言うと、米国株の天井が即、日本株の終わりにはならないことになる。

さてその日本株だが、15-16日の日銀金融政策決定会合では、政策も黒田東彦総裁の会見も、ほぼ市場の予想通り緩和継続の結果になった。政策の選択余地のあるFRBや、そろそろ余地が出て来たECB(欧州中央銀行)に対して、デフレ脱却の一本道しかない日銀(黒田総裁)としては当然のことだろう。勿論、筆者から言わせれば、出口論など時期尚早だ。

日本株・日本経済の先行きに「大きな変化」も

一方、日本株においては、6月9日の臨時閣議で決定された今年の経済財政運営の基本方針、いわゆる「骨太の方針」が、まだマーケットに織り込まれていないといえそうだ。

財政運営と言うとすぐに財政の健全化、端的にはプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化が一本道のように言われる。

しかし今回、ここに「もう一つの道」(GDPに対する債務残高の安定的引き下げ)が加わったことはご承知の通りである。一見、アベノミクスの「財政出動」を金縛りにしている「財政の健全化」にもう一つの縛りが加わったように見えるが、これはまったく逆だ。日本の債務残高の対GDP比は250%(2016年、財務省)で、一概には比べられないものの、この部分だけで見ると、あのギリシャを「問題にしない」高い水準にあることも、ご承知の通りだ。

財政の健全化とは「入るを量りて出ずるを制す」なので、財務省としてはまずは不透明な入りよりはハッキリしている「出」を押さえることになる。これでは思い切った財政出動ができない。

しかし、この「債務残高のGDP比」を、財政の健全化へのもう一つの指標とすれば、第1の主眼がこの数式の分母であるGDPの増加政策になる。債務残高も若干増えるとしても例えば、GDP600兆円の目標を達成すると、GDP比の数値は改善する。

まさに「入るを量る」ことがハッキリとした目標になったわけで、これについては財務省も反対できない。今後は骨太の方針にのっとりGDP増大のための「障害」は排除して行くことになるだろう。GDP増大のための最大の敵は何か。それは増税だ。

筆者には、2019年10月まで延期している消費税増税の廃案という道が見えて来た気がするが、考え過ぎだろうか。

当面、日経平均はレンジ内の動きか

さて、日経平均は先週末の16日に1万9943円で引け、5営業日ぶりに反発した。だが月曜日からの4連続安で、2週間連続で週末維持していた2万円を下回ることになった。

しかし、下回ったと言っても僅か57円、2週続けての大イベントが終わったにもかかわらず、結局はっきりした方向感の出ないままである。今週は大きなイベントはなく、レンジ内の動きになりそうだ。ただし、20日(日本時間21日)は要注意だ。

さまざまな指数算出を手掛けるMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)が、同社の新興国株指数の中に、中国A株(中国本土に上場する人民元建て株)を組み入れるかどうかを発表するからだ。過去3回にわたって判断は見送られてきたが、今回はどうか。このMSCI採用の可否は要注意だ。

それにしても、今期の好調企業が目立つ中で、日経平均の予想PER(株価収益率)は、5月16日の14.3倍から先週末の14.22倍まで、ほぼ1カ月に渡って横ばいを続けている。日経平均の予想1株益から算出したところの「PER約16倍」水準である2万2000円以上の水準が出現するのがいつかは断言できない。だが、ここは踏ん張りどころだろう。今週の日経平均の予想レンジは1万9500円―2万0200円としたい。

関連記事

アーカイブ