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日経平均が一気に1000円以上動くのはいつか 7月はこのままだと30年ぶりの小さな値幅に

2017.07.27

日本株がとにかく動きません。
7月に入ってからは特にそうで、1週間で日経平均株価の高値と安値の値幅がたった178円だったこともありました。
これは大納会や大発会の週を除くと、2012年10月以来の小ささです。
当時はアベノミクス相場がはじまる前の収束相場だったころです。

実は月間でも今月は344円幅(26日現在)しか動いていません。日経平均株価がはじめて1万9000円台に乗せた1987年以降で月間の値幅をみると、今月は今のところ367カ月のうちで最も小さい値幅にとどまっています。
そして、今月を除く 400円未満の上位3つのケース(2005年1月と7月、2011年7月)をみると、いずれも3カ月以内に高値と安値の差が1000円以上動いた月があるのは興味深いことです。
ということは、今月もこのままでいくと、10月までに大きく動く月があるかもしれません。
いずれにしても、収束相場から発散相場への移行が近いことが予想されます。ただ、上位3つのうち2つが7月なのを見ると、今の相場も何となくうなずけますね。

一方、米国株式市場ではナスダックの上昇が目立ちます。最近では動画配信サービスを手掛ける米ネットフリックスの決算などが材料となり、再び騰勢を強めました。
物色が連動しやすい東京株式市場でもハイテク株が買われる地合いとなっていますが、先週あたりからは電子ハイテク材料に強い化学株や非鉄金属株までに物色が広がってきました。
その頼みの綱だったハイテク株買いも、そろそろ一巡する可能性が高い。
また、安倍晋三内閣支持率の低下や円高を背景に海外ヘッジファンドの売りが強くなっているようで、短期的には不安定な動きがあるかもしれません。

すでに今週から国内企業の4-6月期の決算発表が本格化しています。今は人工知能(AI)を駆使し決算短信を読み込むのが速くなったせいか、株価の反動も「超機敏」です。
凪相場に慣れさせられた個人投資家はとてもその速さについていけず、業績の良し悪しよりも値動きのよさだけに便乗する「決算プレー」の短期売買が増加することが見込まれます。

ヘッジファンドのタイプでも比較的多い、株式ロング・ショート系のパフォーマンスが5月以降やや持ち直してきていることから、決算を材料にした売買にも積極参戦しやすいようです。
しかし、今回の筆者が注目したいのはそういった短期資金ではありません。

筆者が注目しているのは、一度買ったらしばらく売らない長期資金の動向です。証券会社のアナリストによる企業決算発表前のプレビューリポートがなくなり、機関投資家の資金流入も発表後に偏るものと思われます。先週、好決算を発表してから上場来高値更新を続ける安川電機のように、4-6月決算時点で通期見通しを強気に出してくる企業はそんなに多くはなさそうです。

しかし、決算で複数の指標から見た「割安度」さえ確認できれば、株価上昇を見越した買い方をしてくる可能性が高いとみています。「今でも割安なのはわかっている」「でも、どうせ期初の4-6月決算だから通期見通しは控えめだ」と静観するものの、安川電機のように強気見通しが増えてくると、米国株が史上最高値を更新する中、焦って買い出すのではないかとの見立てです。もっとも、国内勢よりも先に日本株をオーバーウエートする黒船(海外の年金基金)の出現が予想されますが、年末にかけては景況感の改善に円安方向への反転が味方になることで、企業業績への期待(1株利益の上方修正期待)が高まってくるのではないかと思っています。

ジャクソンホールで3年ぶり出席のドラギ総裁に注目

さて、8月の大きなイベントとしては、後半にカンザスシティー連銀主催で開催される米ワイオミング州ジャクソンホールでの年次シンポジウム(24-26日)があります。今年は金融市場で今いちばん影響力があるECB(欧州中央銀行)理事会のマリオ・ドラギ総裁が3年ぶりに出席します。ドラギ総裁は前回のECB理事会で、6月の講演で市場に広がった「テーパリング(量的金融緩和縮小)」への思惑を修正しようとしましたが、為替市場ではユーロが強くなってしまい、ユーロ高が続いています。

この影響から、欧州株はユーロ高を警戒して大きくバランスを崩しています。日本株にとっても、このままユーロのドルに対する強さが維持されるようだと、ドル円相場は円安ドル高方向に戻りが鈍くなってしまい、日本株の上値の重荷となります。

もし、ドラギ総裁が株式市場に配慮し、ジャクソンホールでは市場の「テーパリング」観測を再び抑える発言をしてくると、今度は逆にユーロ売り・ドル買い基調が強まる可能性が高くなります。ドル円相場は、5月の戻り高値1ドル=114.28円を上回ったあと、111円割れまであっさり円高方向に調整が進みました。4月と6月のときと同じように、52週移動平均線(109.90円程度)までを下限とした調整局面が8月中旬ぐらいまでは続くでしょう。しかし、次の円安トレンドでは7月11日の高値(114.49円)を上抜け、年内で119.95-120.60円処はあるとみています。

8月に高い確率で「重要なサイン」が点灯へ

筆者がテクニカル分析のベースにしている「一目均衡表」を見ると、8月に入ると留意しなければならない「サイン」があります。それは月足の「転換線」の傾きの大きな変化です。転換線とは、過去9カ月間の高値と安値の中値(間の値)で描かれる1本の線です。転換線が上昇していれば強気相場、下落していれば弱気相場と考えますが、実は7月はそのどちらでもない「横バイ」で推移しています。

しかし、8月は高い確率で上昇することが見込まれます。なぜかといいますと、ドナルド・トランプ氏が米大統領に決まった2016年11月の日経平均株価は2,370円程度上下に動く波乱相場となりました。その結果、今よりも相当下方に当時の安値が位置しています。今年の8月になると、ちょうど9カ月前が2016年11月となりますので、転換線の計算対象期間の9カ月間から、当時の安値が消えてなくなるからです。


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要するに、月足チャートのある重要な1本の指標が大きく変化するため、株価も月のどこかのタイミングで大きな変化が起きうる可能性が高い、と仮説を立てることができます。

8月の前半か後半かは判断できませんが、後半のジャクソンホール前後とみます。そのあたりからユーロを買いづらくなる一方、今度は対照的に9月に向けて米国でFRB(米連邦準備制度理事会)の「バランスシート縮小」を織り込む動きになり、米金利上昇によるドル高につれて円安になる流れではないでしょうか。

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