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日本株が大きく動き出すのは8月24日以降か

2017.08.16

膠着相場が続いていた日本株市場だったが、北朝鮮と米国との関係悪化に伴う地政学リスクが再燃した。8月15日の日経平均株価の終値は1万9753円と5日ぶりに反発したものの、2カ月に及ぶレンジ相場を下放れ、14日は一時1万9486円まで下落した。

市場が大きく動くのはいつになるのか

一方、売買代金は大きく下落した14日でも約2.5兆円程度と、さほど売り圧力は強まっていない。お盆シーズンも影響しているようだが、海外投資家が積極的な売買を行っていないことが背景にあると考える。海外投資家は8月24日(~26日)の後述の「ジャクソンホール会合」(ワイオミング州のジャクソンホールで開かれる、カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム)まで、静観の姿勢を維持するのではないか。

外国人投資家のこうした姿勢は、3日の第3次安倍晋三改造内閣誕生に関しても同様だった。各メディアによる世論調査の結果は、毎日新聞では「支持」が9ポイント上昇し35%に回復した一方、「不支持」は56%から47%に減少。読売新聞は「支持」が6ポイント上昇し42%(不支持は48%)、日本経済新聞は「支持」が3ポイント上昇し42%(不支持は49%)と、それぞれ「支持率」の回復が確認できる内容がみられた。

ただ、支持率が劇的に改善したわけではない。場合によっては支持率改善を材料に積極的な売買を手控えている海外投資家が日本株買いに動くともみていたのだが、「支持率」が「不支持率」を上回るといった「買いを誘うような変化率が確認できなかった」ことで、海外勢は静観したようだ。
市場関係者の夏休み入りを考慮すると、前出の「ジャクソンホール会合」まで商い減少は続くと想定する。

今回の「ジャクソンホール会合」ではマリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が3年ぶりに出席し講演を行う予定だ。これが当面の大きな市場の注目点だ。

ドラギ総裁はここでどんな発言をするだろうか。市場では、ユーロ域内経済への自信が強まり、金融刺激策への依存度が減ったことを示唆する発言が出ると見られている。またECBは秋の定例理事会(9月7日)で、資産購入規模を、現行の各月600億ユーロ規模から縮小する計画(テーパリング)を発表すると見られており、来年1月から規模をひと月100億ユーロずつ削減していくとの観測が流れている。

ECB理事会の約2週間前に開催されるジャクソンホールでの講演は、この方針を示唆する絶好の機会と見られる。2014年のジャクソンホール会合で、ドラギ総裁が資産購入プログラムの導入を示唆したことを考えると、同じジャクソンホールの会合でテーパリングを示唆するのが理にかなっている。かつてベン・バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長も量的緩和(QE)第2弾を示唆する講演をジャクソンホールで行った経緯もあることから、8月末の会合は注目のイベントとなりそうだ。

「ジャクソンホール会合後の日本株上昇に期待

すでに6月以降、欧州ではテーパリングの思惑が高まっている一方、北米(カナダ、アメリカ)では利上げに踏み切っている。オセアニア地域(オーストラリア、ニュージーランド)では利下げ打ち止め観測が強まるなど、主要国の金融政策は大きく変化している。

変わらないのは「金融緩和の現状維持」を押し進める日本ぐらいなものか。各国中央銀行の方向性に大きな変化が出ているなか、「グローバル・マクロ」戦略をとるヘッジファンドなどは投資資金の組み入れ変更を検討していることだろう。7月以降の日本株の膠着相場はこうしたアセットアロケーションの変更(投資資金の資産配分)が絡んでいるのではないかと考える。

為替市場ではすでにユーロ買い(買い戻しがメインか)が進んでいるが、8月末のジャクソンホール会合にてドラギECB総裁がテーパリングの方向性を明確に打ち出せば、ユーロの上昇トレンドが強まると想定する。

アセットアロケーションがどのように変更されるのか不明だが、足元の好調な企業業績やGDP(国内総生産)など経済指標を考慮すると、日本株に投資資金が流入するのではないだろうか。国内政治に対する懸念は払拭されていないが、需給面をきっかけとした8月末以降の日本株上昇の展開に期待したい。

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