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老後の備え、いくら必要? 巣鴨と渋谷で聞いてみた 人生100年時代が現実に

2018.03.12

長生きするお年寄りが増えてきたな、と実感することが多くなった。記者の祖父も、この夏に92歳になったがまだまだ元気だ。友人や同僚に聞いても、90歳以上のお年寄りが身近にいる人が意外に多かった。それもそのはずだ。日本人の平均寿命は毎年延び続け、2016年時点(厚生労働省調べ)で男性は81歳、女性は87歳という。

 ただ、この数値はあくまで平均の数値。厚労省の簡易生命表から計算すると、60歳の男性の4人に1人は90歳まで、女性は4人に1人が95歳まで長生きすることになるから、もっと驚きだ。

 私は今、28歳。簡易生命表をみると、同年齢の女性の平均余命は約60歳とある。そして28歳の女性の2人に1人は90歳まで、4人に1人は95歳まで生きる計算になる。95歳の自分なんて、ちょっと想像できない。けれども人生90年、いや100年時代といっても決して言い過ぎとは言えなくなってきた。

 長生きすればするほど、気になるのはお金のこと。80歳や90歳になると、働いて収入を得るのも難しくなる。体が弱ると病気も心配だ。退職してからの老後の生活に、いくらかかると思うのか。お年寄りが集まる東京・巣鴨と、若者でにぎわう東京・渋谷でそれぞれ25人の人に聞いてみた。

人生100年時代 老後にいくら必要?
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■巣鴨では「月20万円でも何とかなる」

 最初に訪れたのは「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる、巣鴨地蔵通り商店街(東京・豊島)。通りを行き交うのは、ほとんどがお年寄りで、通りには和菓子店や、赤い下着が店頭にならんだ衣料品店などが立ち並ぶ。

 25人のお年寄りに「退職後の老後資金はいくら必要だと思うか」とアンケートを行った結果、最も多かったのは「4000万~6000万円未満」で約半分にあたる12人が選んだ。続いて「6000万~8000万円未満」が6人、「2000万~4000万円未満」が5人だった。

 回答も具体的な内容が多かった。「2000万~4000万円未満」との回答を選んだ60代男性は、「夫婦で、月約20万円でやりくりしている」という。健康に気をつければ、貯金と年金で「あと20年は暮らせる」と語ってくれた。

「4000万円は必要」と答えた老夫婦は、「自分なりに投資をやっておけば良かった」と今、後悔しているという。「1億円以上」を選んだ男性は、「平均寿命から考えて必要なお金を計算した」。老人ホームに入居するようなことになれば、必要となる資金は一気に膨らむと警戒していた。

■渋谷では「年金がもらえるかは正直不安」

 次に、東京・渋谷のハチ公前広場に移動した。渋谷駅前は大音量の音楽が響きわたり、思い思いのファッションに身を包んだ若者がスクランブル交差点を足早に行き交う。巣鴨から移動すると、別世界のように思えるから不思議だ。この中で20~30代が中心のミレニアル世代が、どこまで老後のことを考えているのだろうか。少しばかり不安を感じながら、アンケートを始めた。


東京・渋谷では25人のミレニアル世代にインタビューした
 旅行で京都から上京した男子大学生は「年を取ると体力がなくなり、パワフルに動けない。お金はさほどかからない」と、最低額の「2000万円以下」を選んだ。30代の男性は「平均寿命がどんどん延びているから5000万円くらい」と回答。健康でいられれば良いが、病気になって施設に入るようだと「さらに費用はかかる」とも。「90歳まで生きたいが、重要なのは健康でいられるかどうか」と話していた。

 年金への不安を口にする若者も複数いた。日経平均先物を手がけている20代男性は「将来、年金はもらえないかもしれないと思っている」と懸念する。「老後なんて考えたこともありません」と語る、女性2人組も「年金がもらえるかは正直不安です」とこぼしていた。

■運用は「こわいもの」だったけど

 実際、老後の生活にいくらかかるのか。フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長は「退職前の年収によって、老後にかかる生活費も変わってくる」と話す。一例として年間の1世帯あたりの生活費が400万円で、60歳で退職して95歳まで生きるとすると、400万円×35年で約1億4000万円の生活費が必要になる。このうち年金でカバーできるのは全体の6割程度。残り4割は老後に備えて自分で準備する必要がある。

 もちろん生活費を切り詰めれば、トータルの不足額は減る。特に住宅が賃貸だったり、住宅ローンの返済が残っていたりすると、老後の生活費が膨らんでしまうので注意が必要だ。また定年後も何らかの形で働くことができれば、老後の生活の大きな支えになる。

 記者は両親から「しっかり貯金しなさい」と繰り返し言われてきた。それでも老後に備えて準備をしているか、と聞かれると心もとない。正直にいえば、社会人になるまでは資産運用は「こわいもの」と考えていた。学校や家庭などで資産運用について学ぶ機会が少ないことも、投資のハードルになっているのかもしれない。

 老後までまだ時間はあると今は思っているが、その時になれば「あっ」という間だったと感じるのかもしれない。今、できることは何なのか。もう一度、見つめ直してみたいと思う。

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