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日本株を売るヘッジファンドは、敗色濃厚か 6月後半相場は「売り」「買い」どっちが勝つ?

日本銀行が最近、「あまり動いていない」のをご存じだろうか。金融政策云々の話ではなく、ETF(上場投資信託)の買い入れの話だ。

6月前半の相場はヘッジファンドが作った
日銀は6月14日に11日ぶりの買い(703億円)を入れるまで、5月31日から6月13日までの10日間、日銀のETF買いは執行されなかった(設備投資などに取り組む企業を支援するETF買いを除く)。

理由は簡単だ。日経平均株価が、5月30日の2万2018円から6月13日の2万2966円まで上昇する過程で日銀が買うほどの押し目がなかったからだ。では、この間の900円以上の「上げエネルギー」はどこから来たのだろうか。

筆者が取材した範囲だが、多くの「買い方」(国内の個人、機関投資家、買い持ちオンリーの海外ファンド)はほとんど動いていなかった。需給を見るための重要な指標の一つである「投資主体別売買動向」(14日発表、東京証券取引所)でも、個人投資家は現物、信用とも売り越しだった。買っていたのは外国人投資家だ。しかし、前述の通り、買い持ちオンリーのファンドはおそらく買っていない。つまり、6月前半の相場は売り方(ヘッジファンドなど)が作った「買い戻し相場」だったことが分かる。

株式市場における不確定要因を列挙すると、米朝関係、米中貿易摩擦、輸入自動車追加関税、南欧・新興国金融不安、鉄鋼・アルミ関税再浮上などなど書き出すとキリがない。このうち、日本株投資のヘッジファンドの最大の関心事は米朝関係だったはずだ。これが6月12日に米朝首脳会談の実施が確実となり、「ヘッジを解く作業に終始した」(=株式を買い戻した)と考えられる。そして首脳会談実現とともに、この分の買い戻しはひとまず終わった。

米国のトランプ政権は6月15日朝、中国の知的財産権侵害などへの制裁として、総額500億ドル(約5兆5000億円)の中国製品に対し約25%の輸入関税をかけると明らかにした。7月6日から段階的に発動される見通しだ。これに対し、中国も同規模の関税で報復すると表明し、心配されていた「米中貿易戦争」が本格的に始まった。22日に開催されるOPEC総会を前にして、先週末は原油先物も下落している。当然、今週はいったん敗れた売り方ヘッジファンドが、再び売り攻勢をかけてくる可能性があり、梅雨寒の1週間になるかも知れない。

しかし、米国の強い景気指標を受けてドル円相場は1ドル=110円半ばから後半に戻っている。相場の変動の度合いを反映するVIX指数(シカゴのオプション取引所が算出、いわゆる恐怖指数)などは最低水準で安定している。また、日米欧の金融イベントも終わり、落ち着いた動きになっている。

6月後半の相場も、ヘッジファンドが上げに「貢献」?
つまり、適温相場が再び訪れていることを見逃してはならない。日経平均が、中期投資の基準である75日移動平均(2万2000円)を大きく割り込まない限り、ここでたまった売り玉が、再び次の相場の上昇エネルギーになる。

今2018年度における上場企業の業績見通しは前期比売上高2.7%増、経常利益1%増、純利益2%減となっている。だが6月7日に発表されたQUICK企業価値研究所の予想では、ドル円107円を前提にしても、経常利益は8.3%増、2019年度も9.4%増となっている。また三菱UFJモルガン・スタンレー証券でも売上高2.4%増、経常利益7.3%増、純利益1.2%増だ。さらに8日に出たSMBC日興証券予想でも、ドル円105円前提で経常利益7.8%増となっている。ドル円が110円台に定着すると、この数字はさらに伸びる。

企業側も、6月12日発表の第57回法人企業景気予測調査(調査時点5月15日)において、大企業景況判断BSI(「上昇」-「下降」社数構成比)を1-3月+3.3%(10-12月より低下)、4-6月-2%の後、7-9月見通し+6.9%、10-12月見通し+7.9%となっている。

つまり前述の2018年度2%減益という企業側の保守的な見通しは、1-3月、4-6月と下げトレンドの延長線上で予測したものだと言う事が分かる。早ければ、第1四半期決算発表(7月末―8月)、遅くとも第2四半期決算発表(10月末―11月)で増額修正ラッシュになる可能性がある。

もし、今週が梅雨寒相場となったとしても、下げは限定的で「売りが溜まるだけ」と、余裕を持って眺めていたい。その後の6月後半も、次第に買いが優勢となり、売り方が作ってくれそうだ。そして、それは7月、8月のサマーラリーへと続く可能性がある。

今週の日経平均予想レンジは2万2500円―2万3000円とする。

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