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老後の生活費をどう工面 年金繰り下げやトンチン保険

2018.07.12

00年時代と聞いて、誰もが不安に思うのが「そこまで生きる生活費を工面できるか……」ではないだろうか。前回記事「人生100年時代の保険 重視すべきは住まい・賠償…」で紹介した手順で手に入る老後の収入、それまでに蓄える預金、そして支出を把握して、「駄目だ、足りない」と思う人も多いだろう。そんな場合は、どう備えるべきなのか。


定年後のお金の使い方を2段階に分けて考える
 「いきなり100歳までのプランを一括で考えるなんて無理です。60歳もしくは65歳の定年から100歳まで通して考えるのは期間が長過ぎます」と話すのはFPの畠中雅子さんだ。畠中さんは一般的に病気になる率が高くなる70代後半と、それ以前の2段階で分けて考えてみては、と提案する。

 もちろん体力に個人差はあるが一般的に後期高齢者でもある70代後半は、有料の介護サービスを利用する、病気の治療費がかさむなど「払わなくてはならない支出」が増え、支出をコントロールしにくい時期。一方、それ以前は比較的元気で体も動き、支出をコントロールしやすい時期。しかも元気であれば働くこともでき、後半に備えて最後の“貯め時”に充てることもできる期間だ。同じ老後でも前半と後半とでは、お金の使い方が変わることを念頭に「老後の後半で必要なお金、それに備えて前半でできる対策を考えればいい」と説明する。老後の収入と支出、蓄えを見通した後に、前半でどう対応すべきかの目安をつける。預貯金で対応できる、支出を抑えることで対応できる、なら大丈夫。問題は足りない場合だ。

■公的年金をアップさせる?

(イラスト:タケウマ)
 不足分をどうやって補えばいいのか。何歳まで生きるか分からないこそ働ける間は働くことが最善の策になる。働いて収入を得ることができていれば、公的年金の受給を繰り下げることも検討できる。現行制度では70歳まで公的年金の受給を遅らせると、受給額を65歳から受け取る場合に比べ42%増額させることができる。FPの井戸美枝さんは、妻が年下で長期間専業主婦だった場合について、「妻の受給時期を繰り下げるのが基本。夫の年金を繰り下げてしまうと加給年金(扶養家族がいる場合に加算される分)が消えてしまうから」とアドバイス。加給年金を受け取る上、妻分の年金額をアップさせることができる。

 自営業で国民年金しか加入しておらず、年金だけでは生活できない、という場合はどうすればいいか。やはり、できるだけ長く働く、が最良の策になるが、考えておかなくてはならないのが病気やケガで働けなくなるリスクだ。自営業の場合、傷病手当金など公的な保障が薄い場合も。そんな場合に使えるのが就業不能保険や所得補償保険だ。それぞれ特徴があるが、子育て期間中のみ必要なら期間が短い所得補償保険、体が動く限り働きたい人なら長期で保障する就業不能保険という選択になろう。

 老後の全期間にわたって収入を確保したい場合、昨今話題のトンチン保険もある。トンチン保険とは、生命保険の逆の発想で生まれた保険。生命保険が多くの人から集めた保険料で死亡した人の保険金を支払う仕組みなのに対し、トンチン保険は集めた保険料で長生きする人の生活資金を保障する仕組み。従来の個人年金保険とは異なる点が多々ある。

 死亡するまで定額を受け取れる点は魅力で「蓄えであるストックを定期的に受け取る収入(フロー)に変えることができ、預貯金を取り崩す不安の軽減策として有効」(FPの竹下さくらさん)。ただ、もちろん保険料の支払いは必要。その支払いを貯蓄にするか保険にするかの違いであり、相応の準備が必要になるのは間違いない。

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