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リーマン10年 バブル崩壊、歴史繰り返す

世界のバブルの歴史は長い。過去40年間に、1980年代の日本の不動産バブル、1990年代のIT(情報技術)バブル、2000年代の米国住宅バブルとおおむね3度のバブルの発生と崩壊を経験した。つまり、およそ10年に1度、バブルが発生し、崩壊したことになる。

 08年のリーマン・ショックから、9月で10年が経過する。09年から始まった世界の景気拡大は既に9年超に達している。先進国のインフレ率と政策金利は歴史的に著しく低い水準である。株価は09年の高値から今年の高値まで、米国株(S&P500種株価指数)が4.2倍、日本株(日経平均株価)が3.4倍になっている。これらは過去のバブルと比較してもかなり長期で、かつ上昇率が高い。

■新興国通貨安などリスク要因は多い

 歴史は繰り返すといわれる。そうであれば、我々が気が付かないだけであって、既にバブルは発生しており、そしてそう遠くない将来、バブル崩壊がやって来ると考えられる。トルコなど新興国通貨の下落、世界的な金利上昇、米中貿易摩擦などリスク要因は数多い。

 筆者の経験からも、株価のピーク時に相場の転換点を認識することは困難だった。バブル相場の転換点の前後では、強い過熱感はあったものの、これといった大事件があったわけではなかった。突如として、相場が転換し、気が付いたときには長期下落相場に突入していた。

 例えば、リーマン・ショックは08年9月だったが、日経平均の直前の高値は07年7月だった。つまり、リーマン・ショックの予兆はその前年にあったのである。バブルを認識できた人はリーマン・ショック前に空売りして大もうけできただろうが、そんな人はほとんどいない。

専門家であっても、バブル発生を認識するのは大変難しい。18年以上も米連邦準備理事会(FRB)議長の座にあったアラン・グリーンスパン氏は「マエストロ(巨匠)」と称され、その卓越した政策運営の手腕が高く評価された。ところが、在任中にITバブルと米国住宅バブルが発生した。彼は1996年の講演で、米国株式の上昇に対し、「根拠なき熱狂(irrational exuberance)が資産価格を不当につり上げている」とリスクを指摘した。しかし、ITバブル発生を防ぐことはできなかった。

■バブルは崩壊して初めてバブルと認識

 ITバブル崩壊後の2002年にグリーンスパン氏は「バブルは崩壊して、初めてバブルと分かる」という名言を残した。その言葉通り、米国住宅バブル発生が認識できなかった。リーマン・ショック発生直後の議会証言で彼は「これほどまでの大きな危機になるとはとても想像できなかった」と述べている。

 バブルは姿を変えてやって来る。歴史的に、一つとして同じパターンのバブルはない。このため、バブルがやって来たとはすぐに気が付かない。日本の不動産、IT、米国の住宅と、過去3回のバブルの主役はすべて異なる。このように毎回のパターンが大きく異なるため、歴史の教訓を生かすのは容易でない。

 その崩壊に気付くのも遅れやすい。日本のバブル崩壊も当初は認識が甘く、それに対応する政策発動は大きく遅れた。バブル崩壊直後の1990年の経済白書は「当面、景気が反転し、景気下降局面に入る可能性は小さい」と結論付けている。このため、バブル崩壊の最中に、日銀は公定歩合を3回引き上げた。初めて、景気の深刻さを認めたのは93年の白書であった。
これらを総合すると、既に何らかのバブルが発生している可能性が高い。そもそも、永遠に株価が上がることはない。そして、崩壊しないバブルはない。よって、言い換えると、バブル崩壊のリスクも高まりつつある。

■バブル崩壊を乗り越えて成長できる企業

 過去3回のバブル崩壊後の日経平均の下落率は毎回60%を超えており、今回の相場がいったん崩れれば、株価が半値以下になる可能性を示唆する。ただし、株価上昇期間に比べて、株価下落期間は相対的に短いものだ。例えば、日本のバブルにおける日経平均と、ITバブル、米国住宅バブルにおけるS&P500種株価指数の動きを見ると、上昇期間は約8年、下落期間は約2年と、下落期間の方が圧倒的に短い。つまり、バブル崩壊は急激だが、短期間で終わることが多い。

 株価に乱高下は付きものであるため、バブル崩壊を乗り越えて成長できる企業に投資することが有効である。例えば、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、そして日本でもソフトバンクグループ、キーエンス、日本電産などはITバブル崩壊やリーマン・ショックを乗り越えて成長してきた。

 同様に、世界の自動運転、ロボット、フィンテックなどの人工知能(AI)関連株の勝ち組企業に投資する戦略が有効であると考えられる。仮に株価が急落すれば、むしろ絶好の買い場となるであろう。

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