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10ドルでヘッジファンド超越、驚きのウォール街スパコン実現

00万の横列と100万の縦列、そのマス目1兆を埋め尽くすデータ。
まるでスプレッドシートの王様のように聞こえるかもしれないが、ブラクストン・マッキー氏が使っているのはエクセルではない。

クラウドコンピューティングを活用し、自分で作った自己学習型のソフトウエアで安上がりに市場データを分析するのが同氏の流儀だ。
そのコストはたった10ドル(約1200円)。
これまでにない、安くて将来性の高い人工知能(AI)の世界がそこには広がっている。

マッキー氏(35)はウォール街でデータサイエンスを新たな次元に押し上げている数学・コンピューターの達人の1人。
彼らのすごいところは、これまで空想科学の世界に思われたAIを現実のものにしつつあるというより、もっと日常的に使える手法にしている点だ。
クラウドのおかげで、気が遠くなるようなデータ分析が安くできるようになり、コスト面で多くの企業の手に届くものになった。
ルネッサン ス・テクノロジーズなどの一部ヘッジファンドや米グーグルといったハイテク大手はAIや機械学習機能を何年にもわたって駆使してきたが、今ではマッキー氏が2011年に設立したユーフォラなどのデータ分析専門会社がクラウドの力を活用し、ヘッジファンドや金融機関が複雑かつデータ量の大きいコンピューターモデルを運用する手助けをしている。

5年前なら、マッキー氏のいわば1兆のマス目マトリクスのプログラミングには100万ドル以上するハードウエアと数カ月のコーディング作業が必要だった。
しかし今はアマゾン・ウェブ・サービシズにログインするだけでいい。
マンハッタンにあるロフトの一室で同氏は「コーヒータイム」と名付けたプロジェクトに取り組んでいる。
データ量がどれだけ増えても、オフィスで机を離れキッチンでコーヒーを入れて戻ってくる間にどのモデルの分析も済んでいるようにするのが目標だ。

マッキー氏はかつて、ヘッジファンドのエリントン・マネジメント・グループでプログラマーをしていた。
同じくヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツに勤務していたベテラン社員3人も最近、自分たちの会社ドミノ・データ・ラブを設立。
もう一つ、パロアルトに本拠を置く新興企業のセンサイも企業のデータ分析などを手助けする。
クラウドの普及でコストが下がり、処理は高速化している。こうした技術革新によって、ウォール街の内外で大容量のデータ分析が誰にも可能になってきていると語るのは、ドミノ・データ・ラブ創設者の1人、マシュー・グラネード氏だ。
ブリッジウォーターで調査担当の共同責任者だった同氏は「自動車製造から米政府、医薬品メーカーなど、あらゆる分野で高度な分析ニーズを目にする。
ヘッジファンドは自分たちが最先端を走っていると思っているようだが、それは一部のレベルに限った話だ。それ以外の世界もすごいペースで前進している」と述べた。 

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