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中国政府とヘッジファンドの駆け引き

中国は短期間のうちに驚くほどの経済成長をあげました。
これには、中国では労働力が安く、また勤勉な国民性もあり、製造業が急速に発展したことが要因としてあげられます。
しかし、それだけではとうてい驚異的な経済成長は説明できません。

海外からの資金が半端でないレベルで入り込んだことも大きな要因です。
「社会主義国」中国では海外からの投資には様々な厳しい規制があります。
しかし、世界的なヘッジファンドはその規制をくぐり抜け、巨額の資金を中国に持ち込みました。
経済成長が10%程度をコンスタントに実現する国、しかも巨大市場を持っている国は中国しかありません。
次にありうるとすればインドですが、まだそのレベルには達していません。

中国の経済成長率は確かに落ちていますが、それでも7%前後。
ヘッジファンドは大きな利益を上げてきました。
中国の経済政策は必ずしも優れたものばかりではありません。
腐敗がはびこり、いびつな政治=経済システムのある中では、大きな問題もありました。
地方都市に見られるゴーストタウンはその象徴的なものです。
ほとんど使われない新都市に巨額な資金が投じられ、そこが廃墟のようになる。
こんなことが繰り返されて、まともに成長するとは思えません。
しかしそれにも関わらず、中国経済は成長を続けたのです。

これまでは失敗を上回るだけの新たな資金が入ってきたから、こうしたミラクルができたといえます。
1000億円の失敗をしても、新たに2000億円の資金が入るなら、問題を隠すことができます。
日本だけでなく欧米諸国からも多くの企業が中国進出をしました。

しかし、そこで成功したのは10%程度といわれます。
90%はうまくいかなかったのです。
中国での経営、取引の難しさに驚嘆し、投資したお金を捨てて廃業した企業も少なくありません。

しかし、それでもさらに新たな企業が進出してきたために、中国経済としては問題が顕在化してこなかったのです。
しかし、最近は状況が変わっています。
さすがに中国経済に陰りが見え始め、ヘッジファンドや投資家は資金を中国に入れることから、他国へ移すことをし始めたのです。
中国の資金は長期的な安定投資家の比率は低く、不安定と言われます。
好調な時は問題がみえないのですが、経済が厳しくなると、それに追い打ちをかけるような構造になっているのです。

中国は「社会主義国」ですから、簡単に資金を移せないようにすることは確かにできますが、それを露骨にやると、新たに入る資金がなくなるというリスクがあります。
中国には資金は入れることはできるが、出すことは難しいということになれば、資金を入れるファンドはリスクを感じて資金を入れることはしなくなるでしょう。
現在、ヘッジファンドや投資家は中国から資金を移そうとしています。
つまり「売り」の傾向にあります。その額が巨大なだけに、中国政府が行う株価の下落をとめる施策はあまり功を奏していません。
経済はさらに下向きになり、負の連鎖が始まっています。

ロイターは、中国の経済成長は現在は公式発表のものよりもはるかに低いのではないかという記事を載せています。
ロンドンに拠点を構える独立系調査会社ファゾム・コンサルティングは2014年に、公式GDPの予想を公表するのをやめ、実際の成長率とみなす数値を公表することを決めています。
それによると、2015年の中国成長率は2.8%、2016年はわずか1.0%にとどまると予想しているといいます。

もうすでに中国の経済成長は、特別なものではなく、多くの先進国なみになっているというのです。
中国に入れられた資金がどこまで中国にとどまるのか、それとも出て行くのか。
中国のこれからの5年を決める戦いが始まっています。

中国政府とヘッジファンドとの駆け引きです。私は、一旦は中国経済はバブル経済の破綻を経験し、そうとうに厳しいところに落ちると予想しています。
その時に中国の社会システムが耐えれるかどうかが決定的に重要です。
耐えれるなら、5年後くらいからまた経済発展の軌道に乗るかと思います。
耐えれなかったら?誰も予想できないレベルの状況になります。
日本経済にとっても、世界経済にとってもこれからの中国経済の方向は大きな影響を与えるものとなります。

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