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外債は「割に合わなくなっている」、生保が消去法で国内債回帰の兆し

生命保険会社が外国債の投資から日本国債へ回帰する兆しが出ている。

米国債の利回りは6倍超に上るが、投資資金を円からドルに換えるコストの上昇で投資妙味が薄れていることが背景にある。
米国の10年物国債利回りが為替ヘッジコストを差し引くと1.80%前後となっているのに対し、同年限の日本国債は0.3%で推移している。

ただ、クロス通貨ベーシススワップを通じて資金を円からドルに交換した場合のコストは、2011年12月以来の高水準付近まで膨らんでいる。

世界経済の減速懸念を受けた投資家のリスク回避を背景に、円の対ドル相場は約2カ月ぶりの高値を付け、日本国債に対する需要も顕著になりつつある。

日本銀行の統計などによれば、生損保は国内の民間金融機関で唯一、国債等保有額を6月末にかけて増加。足元ではさらに買いの手を強めている。
JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、円安が進んでいないため、生保は為替ヘッジしない「オープン外債についてはトーンダウンしている」と指摘。
ベーシススワップが絡むと「ヘッジコストも日本人にとって決して良い環境ではない」と言い、国内では超長期債中心の方針は変わらないが、金利が低いので「世界的な市場環境から買うなら、超長期を多少増やすのかもしれない」とみている。

財務省の統計では、生保による海外の中長期債の買越額は7-9月に3539億円と前年同期に比べ8割減少。
今年度の第1四半期に当たる前期の4分の1未満にとどまった。

一方、日本証券業協会の統計によれば、生損保による利付国債の買越額は8月に4780億円と昨年10月以来の大きさとなった。
バークレイズ証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは「米金融正常化の過程でドルの貸し手がバランスシートを圧縮したい一方、日本からの対外投資は活発に続いているのでドル調達の意欲は旺盛だ」と指摘。

為替ヘッジした上で日本国債を上回る利回りを得るヘッジ外債は「ドル需給の偏りを背景としたプレミアムの拡大で、外貨の調達コストを考えると、割に合わなくなってきている」と言う。

日本生命保険と第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の主要4社は、今年度は超長期ゾーン中心の国債投資を抑制し、外債に重点を置くと4月に表明。
しかし、わずか数カ月で世界経済の堅調な拡大や年内の米利上げといった前提が崩れてきている。
各社は今週、下期の運用計画を公表する。財務省は、市場関係者が投資家の投資意欲を見極める上で注目する今年度下期で初めての20年債入札をあす実施する。

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