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コンビニ各社、海外出店戦略急ぐ TPP 新興国は「有望なフロンティア」

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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)では、参加12カ国の投資やサービスなど国によって異なるルールが一定のルールに統一され、企業や消費者は海外活動で幅広い恩恵を受けられる。マレーシアやベトナムなどの新興国を中心に規制は大幅に減り、日本企業は海外進出がしやすくなる。国境の垣根が低くなり、参加国内での人やモノ、カネの行き来が活発化するのは間違いない。

 「(まだ進出していない)マレーシアは有望なフロンティア。規制がなくなるなら歓迎だ」。コンビニエンスストア大手、ファミリーマートの中山勇社長は、TPP交渉の大筋合意で得たメリットの大きさを強調する。

 大筋合意により、マレーシアではこれまで認められていなかったコンビニへの外国資本の出資が可能になり、ベトナムでは協定発効5年後に外資系小売業の2店目以降の出店を政府の審査なしにできる。国内での出店は既に飽和状態で余地が狭まる中、海外を新たな収益源としたいコンビニ各社は、協定発効後を視野に出店戦略を急ぐ。

 TPPでは電子商取引や金融、電気通信サービスのルールが整備されることで、企業だけでなく消費者も利益を享受できそうだ。

インターネット上で販売される楽曲のコンテンツや電子書籍に関税をかけることが禁止されるほか、域内の貨物到着から原則48時間以内に引き取りができ、通関の迅速化も見込まれる。現地に拠点を置かなくてもネット通販などの事業が可能になるため、低コストで海外展開をしたい中小企業にとっても追い風になる。

 また、自分の携帯電話を国外でそのまま使う際に徴収されている国際ローミング(相互接続)料金が安くなり、海外旅行や出張の負担軽減が期待される。

 一方、著作権保護では、作者の告訴がなくても捜査当局が著作権侵害を起訴できる「非親告罪」が導入された。ただし、著作物の収益に大きな影響を与えない場合は、非親告罪は適用しないとする例外規定を設定。これにより、漫画やアニメなどのキャラクターを使い同人誌を制作・販売するなどの創作活動が制限されないよう配慮した。

 だが、例外規定の具体的な線引きがはっきりせず、同人誌作家の創作活動が萎縮する懸念もある。日本漫画家協会の赤松健理事は「漫画家は創作活動を通してプロデビューすることも多い。この道が閉ざされると悪影響がある」などと訴えている。

■TPP発効後の外国企業の進出規制・制限(現在/発効後)

 ≪ベトナム≫

 コンビニやスーパーなど小売業の出店を審査/廃止

 現地銀行への外資出資比率規制15%/20%に緩和

 電気通信業への外資出資比率規制65%/75%に緩和

 ≪マレーシア≫

 コンビニへの外資出資禁止/出資上限30%に緩和

 外国銀行の店舗外ATMの設置制限/原則撤廃

 外国銀行の支店数上限は8支店/16支店に拡大

                   ◇

 ■TPP発効後の著作権ルール(現在/発効後)

 ≪保護期間≫

 作家の死後50年/70年に延長

 ≪摘発要件≫

 親告罪(著作権者の告訴)/非親告罪(訴えなくても摘発)

 ≪損害賠償≫

 実際の損害額/侵害の立証で一定額を認定

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