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大型ジャンク債ファンド破綻が示す非流動性資産投資の危険性

米投資会社サード・アベニュー・マネジメント傘下の高利回り(ジャンク社債)ファンドが事実上破綻したことで、時価の把握が困難で市場環境が良好なときでさえも取引しにくい非流動性資産を積み増す危険性が浮き彫りになった。

ミューチュアル・ファンド業界において金融危機以降で最大規模の破綻となった「サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンド」(TFCIX.O)は今や10億ドル弱まで資産規模が細っているが、ロイターの分析ではそのうちの少なくとも20%を非流動性資産が占める。

リーマン・リバイアン・フリッドソン・アドバイザーズのマーティ・フリッドソン最高投資責任者によると、最も人気の高い米ジャンク債ファンドの一部も非流動性資産に大規模な投資をしているおり、その資産価値は現在のジャンク債市場の落ち込みを的確に反映していない恐れがあるという。

フリッドソン氏は「これら(の資産)は価格評価が難しいというまさにその理由で、必ずしも市場全般の低落を全面的には示していない。むしろ価格の透明性が非常に高い流動性資産を多く保有するファンドよりも、表面的にはパフォーマンスが良好に見えてしまう」と述べた。

ロイターが集計した米ジャンク債ファンドの規模別トップ10で見ると、非流動性資産への投資比率が今年最も高いのはアライアンスバーンスタイン傘下のABハイインカム・ファンド(AGDAX.O)だ。7月末段階で運用資産73億ドルの中で非流動性資産は10億8000万ドルと15%に達した。ちなみにサード・アベニューのフォーカスト・クレジット・ファンドは規模別トップ10には入っていない。

アライアンスバーンスタインは、コメント要請に対して応答がなかった。

総額2360億ドルとされるジャンク債ファンドは今年、コモディティ価格下落や金利先高観を背景にここ7年で最悪のパフォーマンスを記録する見通し。このため一部大手ファンドは既に、最もリスクの高い資産への投資を絞り始めている。

アメリカン・ファンズ・ハイインカム・トラスト・ファンド(資産170億ドル)(AHITX.O)はロイターに、非流動性証券への投資比率を現在の1.6%から下げる方針を明らかにした。同ファンドは今年、非流動性資産投資で2億ドル近い損失を計上した。

アライアンスバーンスタインやアメリカン・ファンズ以外では、ブラックロック(BK.N)やワデル・アンド・リード・ファイナンシャル(WDR.N)が、大規模な非流動性資産に投資していてそれらの価値は運用担当者自身の想定によってしか評価できない場合もあるようなジャンク債ファンドを抱えている。

<利回り志向>

ジャンク債ファンドが好んで投資してきた非流動性資産は、金融危機時に大手銀行が組成した住宅ローン担保証券に組み込まれたサブプライムローンから、エネルギーや化学セクターの経営不振企業向け銀行債権まで多岐にわたる。

モーニングスターのアナリスト、サミット・デサイ氏は、ジャンク債ファンドの運用担当者が非流動性資産を志向するのは、価格が割安でリスクプレミアムが乗る分だけ高い利回りを確保できるからだと指摘した。

それでもロイターが各ファンドの開示資料を調べたところ、ほとんどのジャンク債ファンドは、リスクが高く流動性が乏しいとみなされるいわゆる「レベル3」に分類される資産をまったく保有していないか、保有比率は1%未満にとどまっている。

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